駅の姿は、街の勢いを映す。週刊朝日では主要鉄道会社の2016年度の駅別利用者数のデータを集め、独自に分析・集計した。利用者が大きく増えた“流行る駅”があれば、そうでない駅もある。首都圏の変容とは。
朝のJR品川駅を歩くと、花火大会終了後の帰り道のような大混雑だった。
駅西側の高輪口と東側の港南口を結ぶ幅20メートル、長さ200メートル超の自由通路は、通勤客らでいっぱい。線路をまたぐ高架式通路は、人波で揺れを感じるほどだ。
人の流れは、港南口へと向かう。再開発でオフィス街が形成され、日本マイクロソフトや三菱重工業など数多くの企業が本社を構えている。
JR東日本がまとめた2016年度の駅別乗車人員ランキング(1日平均、以下同じ)によると、品川は前年比2.9%増の37.2万人。前年比0.2%減で37.1万人の渋谷を抜き、初の5位になった。新宿、池袋、東京、横浜、渋谷の5駅が上位の常連だったが、勢力図が変わった。
東海道新幹線の駅が03年に開業し、羽田空港とをつなぐ京浜急行との乗り換えにも便利。15年春には、高崎・宇都宮・常磐の各線と東海道線とを結ぶ上野東京ラインも開業した。
品川は東京の玄関口としての存在感が高まっている。乗車人員を10年前の06年度と比べるとその変化は際立ち、14%減の渋谷に対し、品川は20%も増えた。
「渋谷駅が終点だった東急東横線と東京メトロ副都心線が13年に相互乗り入れを始め、JR渋谷駅は乗り換え客が減ったと考えられます。また、品川駅の隣の大崎駅との間でも、利用客が増えているようです」
こう話すのは、鉄道ジャーナリストの梅原淳さん。大崎まで行けば、埼玉方面に向かう埼京線にも、お台場方面に向かうりんかい線にも乗り換えられる。大崎の乗車人員は前年比4.1%増の16万人。JR東の上位100駅のうち、前年比伸び率が最も高かった。10年前と比べると、58%増にも達する。