トークイベントの様子。左が藥師実芳さん、右が大賀一樹さん
トークイベントの様子。左が藥師実芳さん、右が大賀一樹さん
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映画「ハートストーン」/7月15日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開/129分/監督・脚本:グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン(アイスランド)/北欧、東アイスランドの美しく雄大な自然が広がる小さな漁村、ソールとクリスティアンは幼い頃から大の親友同士。思春期に差しかかり、クリスティアンは、ソールへの特別な感情に気づき当惑する。大人から子供までみなが顔見知りで、慣習が尊重される村の環境は些細なことが大きな火種となる。やがてクリスティアンは、思いつめてある行動を起こしてしまう。監督自身の体験をもとに描かれた青春映画 (c)SF Studios Production & Join Motion Pictures Photo Roxana Reiss
映画「ハートストーン」/7月15日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開/129分/監督・脚本:グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン(アイスランド)/北欧、東アイスランドの美しく雄大な自然が広がる小さな漁村、ソールとクリスティアンは幼い頃から大の親友同士。思春期に差しかかり、クリスティアンは、ソールへの特別な感情に気づき当惑する。大人から子供までみなが顔見知りで、慣習が尊重される村の環境は些細なことが大きな火種となる。やがてクリスティアンは、思いつめてある行動を起こしてしまう。監督自身の体験をもとに描かれた青春映画 (c)SF Studios Production & Join Motion Pictures Photo Roxana Reiss

「映画の主人公が自殺を図る場面がありましたが、LGBTの当事者が自殺について思い悩む第一ピークは小学校高学年から高校までと言われています」

 LGBTの若者を支援するNPO法人「ReBit(リビット)」代表・藥師実芳(みか)さん(27)は、会場を見渡しながら、こう語った。

 6月30日、早稲田大学構内でアイスランド映画「ハートストーン」の試写会が開催された。映画の舞台は北欧、東アイスランドの小さな漁村。閉鎖的なコミュニティーの中で、少年が親友の男の子に恋心を抱き、葛藤するさまを繊細に切り取った青春映画だ。

 閉鎖的な村のなかで、二人の少年がゲイだと噂になる場面について、藥師さんは、自らの体験をこう重ね合わせた。

「片方の少年が親友に、『普通にしてくれよ、そしたら元に戻れる』と語りかけるシーンがありますね。あれは、昔のぼくが自分に言い聞かせてきた言葉でした。普通であればこの社会で生きられる。普通でなければいけない、と。『普通』の呪縛に巻き取られ、絡め捕られていた自分を思い出しました」

 同映画は、ベルリン国際映画祭の最優秀LGBT映画に贈られるクィア獅子賞など多数の賞を獲得した注目作。完成度の高さもさることながら、日本で注目を集めたのは、上映後のトークイベントである。

 会場は早稲田大学構内。ゲストは冒頭の藥師さん。

 女性として生まれたが、心の性別は男性であるトランスジェンダーだ。

 壇上で藥師さんは、映画の感想を織り交ぜながら自身の体験やLGBTを取り巻く現状についてさまざまに語った。そして、もうひとつ存在感を示したのは、配給会社と協力して上映会とイベントを実現させた「GSセンター」だった。

 今年4月、早稲田大学は国内初となる「GSセンター」を設置した。「GS」とはジェンダー、セクシュアリティーの略。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを指す「LGBT」ら性的マイノリティーに悩む学生の相談への対応や学校生活に必要な支援、それに情報発信を目的とする組織だ。

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