創設のきっかけは、2015年、早稲田大学の学生コンペだ。「Waseda Vision 150 Student Competition」で「日本初!LGBT学生センターを早稲田に!」と題した企画が総長賞を受賞。2年後の今年春にセンターが創設されたのだ。
センターは、三神弘子同大教授センター長と学生生活課の職員2人、LGBTの知識を持つ専門職員2人と学生スタッフ5人で運営される。
冒頭のトークイベントで司会進行を務めた大賀一樹さん(29)は、自身を男性とも女性とも認識していない、「Xジェンダー」。センターの専門職員として、運営をサポートしている。大賀さんが言う。
「LGBTなど性のあり方に悩む学生への支援が第一の目的です。センター開設から3カ月、相談件数は30件弱、利用者数は300を超えた。『健康診断があるが、たとえば男性として受診したくない。配慮をしてもらうために大学側にカミングアウトをして相談するべきか』、といった内容もありました。この場合は、本人が納得できる環境で受診できるよう、本人の了解を得たうえで学校側に交渉しました。必要があれば、学生相談室(カウンセリング)の紹介もしています」
この部屋に足を運ぶことがカミングアウトにならないよう、センターの役割は、当事者の相談に限定していない。
「センターに来てくれた当事者が、カミングアウトしてくれても、しなくてもいい。重要なのは味方や理解者の輪を広げること」(大賀さん)
LGBTの当事者はもちろん、問題に関心を持つ学生が自由にセンターを訪れることができる。理解や知識を広げてもらうために、発信基地としての性格を大切にしているのだ。
大賀さん自身も長い間、自身の性に悩んできた。男性として生まれたが、幼少の頃から自分の性に違和感があった。