大手企業も、アロニアの可能性に注目している。
カゴメが15年からギフト商品として売る「野菜生活100 北海道ベリーミックス」。希少価値の高いベリー類として、ハスカップとともにアロニアが配合されている。芳醇な香りと酸味が特徴で好評という。
ポーラ・オルビスも、アロニアエキスのサプリメントを扱っており、売れ行き上位の人気商品。販売額は累計45億円にのぼる。
15年10月には、アロニアをチョコレートに混ぜた「ショコラ・ド・アロニア」を販売した。16年3月までに10万個以上売れ、販売額は1億円を突破。同社は「ダイエットに対する罪悪感の払拭というテーマにマッチし、アロニアの認知度向上に貢献したと思っています」という。
日本新薬は、10年以上前からアロニアを使ったサプリメント原料を研究・開発している。注目するのは、脂質の代謝を促す作用に関わる成分「トリテルペン酸」だ。
その可能性を示す興味深い動物実験がある。
高脂肪食(砂糖や脂肪分たっぷりの太らせるエサ)だけを与えたマウスと、アロニアエキスを添加した高脂肪食を与えたマウスとで体重の変化を比較した。摂取から4週間後、アロニアエキスを摂取したマウスは、体重や内臓脂肪量の増加が抑えられていたという。
数年前、「アサイー」がブームになったことは記憶に新しい。ポリフェノールや食物繊維を豊富に含み、アマゾンが生んだ「奇跡のフルーツ」と呼ばれた。ファッションモデルを中心に日本でも瞬く間に広がったが、今は人気が落ち着いた。
海外から入ったスーパーフルーツはすぐ紹介されて話題を集めるが、定着しづらい面がある。「健康面だけでなく、食の楽しみをもっと伝えるべき」(美容業界関係者)との声もある。アロニアは関係者の間で徐々に認知されてきただけに、ブームへの期待が高い。
美容家の小林ひろ美さんは海外のオーガニックマーケットで、パウダー状のアロニアやサプリメントを買うという。「スーパーフルーツのなかでも、アロニアは最先端。今は『知る人ぞ知る』だけど、これからきっとブレークするでしょうね」と話す。
日本初のベジタリアン雑誌「veggy(ベジィ)」の吉良さおり編集長は「アロニアはドリンク形態が多く、気軽に味わえる点が魅力」と注目する。
“飲む美容液”とも言え、健康への投資につながる果実アロニア。きっとブームが来るに違いない。
※週刊朝日 2017年6月16日号