放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、「はなまるマーケット」のレポーター堤信子さんがプロデュースした万年筆「recolte(レコルト)」について。

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 情報番組出演者の中で、もっとも知識抱負なのは、リポーターさんだと思う。番組のために、毎日のようにファッションやグルメを始めとするトレンドをキャッチすべく精力的に取材。“実用”といって、生活に役立つ情報に数字がある=視聴率が獲れると各局がわかってからは、料理や洗濯、掃除などに役立つ便利グッズなどを紹介するコーナーも増えた。それらをスタジオでプレゼン、実演するのもリポーターさんだ。

 おのずと、巷(ちまた)の流行に精通し、取材先で会う人はもちろん、スタジオにくる専門家とも、ディレクター以上に親しい関係になる……というのも、情報番組のリポーターさんの特徴だ。

 1996年秋から2014年春まで続いたTBS系「はなまるマーケット」に出演していた堤信子さんは、まさに、そんな一人だったと思う。

 出演した専門家ゲストの多くが「本当にカンジのいい人だった」「出演に不慣れな私を親切にフォローしてくれた」と彼女を絶賛しているのを何度も聞いたことがある。

 MCの岡江久美子の邪魔をしない清楚な(!)タイプでありながら、しかし、ファッションやヘアメイクの“系列”は同じ。これは、女性MCの重鎮と仕事をするときの鉄則だと考える。

 現在、その堤さんが「文具プロデューサーとして大活躍している」という情報が飛び込んできた。三越伊勢丹「百年百貨」とサントリー「~ザ・プレミアム・モルツ~マスターズドリーム」の初コラボ万年筆「recolte」をプロデュースしたのである。

 ビールをイメージした琥珀色の濃淡2色に分かれた、キャップと軸には、目をこらすと、マスターズドリームの美しい泡を思わせる細かいラメが光る。

 
 クリップ部分の“回り止め”が最大の特徴で、数字の“1”に麦の穂とホップが絡むデザイン。インクは、コクのある美味しいビールをイメージした色になっている。リポーター時代、あらゆるモノを取材してきたうえ、美意識の高い堤さんだからこそのモノだろう。

 実は昭和女子大や青山学院女子短大、法政大などの兼任講師も務めている堤さん。学生たちにも万年筆が広まるように、「レポートは万年筆で、と言っている」そうだ。

 昨年11月に発売された限定商品が完売になってしまう前に、「父の日に」と堤さんを通じて注文する有名人も多いのだとか。

 美人の堤信子さんプロデュースの万年筆で書いた美文字には“はなまる”が付くこと間違いナシだ。

※recolteの最初のeは本来、アクセント記号(アクサンテギュ)がついたもの。

週刊朝日  2017年5月26日号

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