平昌(ピョンチャン)オリンピックまで、あと1年。その命運を左右する世界選手権が、3月29日から始まる。敵なしと思われた男子・羽生結弦に、意外なライバル出現。女子も五輪3枠キープの危機。どうなる日本フィギュア!
男子は群雄割拠の戦国時代だ。
昨季までは、羽生(ANA)とハビエル・フェルナンデス(スペイン)が、世界選手権とグランプリ(GP)ファイナルの1、2位を占めてきた。今季の世界選手権は、四大陸選手権で羽生を破った新星、ネーサン・チェン(米)が優勝争いに割って入る勢いだ。宇野昌磨(中京大)、パトリック・チャン(カナダ)も表彰台を狙う。
質の高い3種類の4回転ジャンプを持つ羽生がミスをしなければ、3大会ぶりの優勝は堅い。過去2シーズンは年明け前だった調子のピークを、シーズン終盤の今大会に合わせられれば、来年2月の平昌にもつながる。
フェルナンデスは4回転が2種類だけだが、総合力が高い。史上初めて4種類の4回転に成功したチェンは、まだ17歳ながら、表現力もあり、五輪で羽生の最大のライバルに成長する可能性が大きい。宇野は今月、記録が非公認の大会で300点超えの演技をした。2回目の世界選手権で初のメダルを狙う。
日本女子はエース宮原知子(関大)が直前に棄権した。五輪出場枠3枠確保には、世界選手権で上位2人の順位の合計が13位以内になる必要がある。今季シニアデビューした若手2人の頑張りが欠かせない。
四大陸選手権で優勝したシンデレラ・ガール三原舞依(神戸ポートアイランドクラブ)は、大舞台の重圧を力に変え、通常どおり楽しんでミスなく滑りたい。四大陸で9位だった樋口新葉(東京・日本橋女学館高)は、気持ちの切り替えは早いタイプ。ここ一番での勝負強さもある。急きょ出場する本郷理華(邦和スポーツランド)は、体調を整えられるか。2人が7位以上の可能性はある。期待したい。
優勝争いは、連覇を狙うロシアの17歳エフゲニア・メドベジェワが頭一つ抜けている。追うのは同じロシアのアンナ・ポゴリラヤ。ソチ五輪銅メダルで、出場停止処分明けのベテラン、カロリナ・コストナー(イタリア)や、ケイトリン・オズモンド(カナダ)が表彰台を狙う。
※週刊朝日 2017年4月7日号