3割の保護者が子どもの便秘状態を認識していない?(※イメージ)
3割の保護者が子どもの便秘状態を認識していない?(※イメージ)

 大人を悩ませる便秘が今や、子どもでも深刻な状態になっている。NPO法人日本トイレ研究所の調査では、小学生の5人に1人が便秘であることが判明し、「子どもの排便外来」には患者が殺到。どうすれば現代の子どもたちは、スッキリうんちを出せるのか。実態と改善策に迫った。

「赤ちゃんのときから便秘気味で、1~2週間、便が出ません。プルーン、ヨーグルト、オリゴ糖、食物繊維の豊富な食事、いろいろ試しましたが効果がありません。本人も出すのが怖いと言っています」

「1年生の男の子ですが、幼稚園のときに便が1カ月に1回しか出ず、小児科で浣腸をしてもらいました。また便秘になり1カ月に3回しか出ません。食事も、飲みものもあまりとりません。大丈夫か心配です」

 これらは、さいたま市立病院小児外科に設けられた子どもの排便外来や、担当する中野美和子医師がアドバイザーを務めるNPO法人日本トイレ研究所に寄せられたものだ。中野医師の著書『赤ちゃんからはじまる便秘問題』(言叢社)に数多く掲載されている。

 週1回の排便外来には、困り果てて来院する患者と保護者が後を絶たず、他の外来日も充てている状態。1日20~30人診察しても追いつかず、今は外来を制限せざるを得ないほどだ。

「親御さんは、あの手この手でお子さんの便秘を治そうとしても、良くならない。いろいろと試しているうちに便秘が慢性化してしまうケースがとても多い」

 と中野医師。特に小さな子どもは自分の便秘に気付きにくく、自分から便秘の症状も訴えにくい。だが、苦しさは大人も子どもも一緒。おなかが張るため食事をとれなくなり、イライラ。排便の前は便意が波のようにやってくるが、出せずに大騒ぎになるという状態を繰り返す。

「多くの親御さんは子どもの排便のことで頭がいっぱい。“地獄のような毎日”と訴える人もいるほどです」

 全国4833人の小学生とその保護者に聞いた日本トイレ研究所のインターネット調査では、国際的な診断基準であるROMEIIIで便秘状態にある小学生は、全体の20.2%。3日に1回以下しか排便しない小学生は7.6%いた。便秘状態にある子の47.1%は、排便回数が少なくても危機感を持っていなかった。また、子どもの便秘状態を認識していない保護者が32.0%もいることが判明した。

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