「第1次急増期は患者の多くが中高年で、この『調節疲労』のタイプでした。しかし、いま若い人に見られる眼精疲労は、『外斜位』という別の原因で起こっています」(同)
外斜位とは聞き慣れない言葉かもしれない。両目で遠くをぼーっと見たとき(安静位)の目の向いている方向を「眼位」といい、平行を「正位」、そうでないものを「斜位」としている。
斜位には外斜位、内斜位、上下斜位と3タイプある。外斜位は、安静位の目が外を向いている状態のこと。外斜位の人は多いが大半は問題がなく、正常範囲といえる。しかし程度が強いと、眼精疲労の原因になる。
近くを見るとき、私たちは無意識に寄り目にする。このとき働くのは眼球を動かす眼筋だ。外斜位の程度が強ければ寄せ幅が大きくなり、眼筋に負担がかかる。
見たい場所までの距離も重要なポイントだ。デスクトップパソコンなら70~75センチ、ノートパソコンでも50センチぐらいあるが、スマホは20~30センチが普通。この近さだとかなり寄り目にしなければならず、それまで問題のなかった軽い外斜位でも疲れてしまう。
それで、水晶体が軟らかく、近くにも楽にピントが合わせられるはずの若い人にも眼精疲労が増えてきた。中高年には調節疲労と外斜位を合併している人が多くなっているという。
「重症化すると、外出もままならないほど体調が悪くなったり、うつ状態になったりして、会社を辞める人もいるほどです。そうなる前にぜひ治療を受けてください。原因が調節疲労なら遠近両用メガネを、外斜位ならプリズムレンズのメガネをかけることで劇的によくなります」(同)
※週刊朝日 2015年12月25日号より抜粋