「おひとりさま」の味方は友人!
「おひとりさま」の味方は友人!

 自由な生活を満喫している人も少なくない退職後の「おひとりさま」。しかし、そこには友人が欠かせない。

 なぜ、おひとりさまシニアに友人が必要なのか。「煩わしい付き合いをしたくないから、一人の道を選んだのに!」と思う人もいるだろう。

 だが、ちょっと想像してほしい。第三の人生は長い。ずっと単身だった人の場合は退職と同時に「おひとりさま」の老後が始まる。平均寿命まで20年以上もある。配偶者がいる人の場合も、相手に先立たれた後の人生が、短いとは限らない。元気なうちは旅行も趣味もし放題で気ままだろう。しかし、急に具合が悪くなって倒れたり、骨折して動けなくなってしまったりしたら……? 冷たくなった体が数週間後に見つかった、なんてニュースを聞いて背筋が寒くなった経験はないだろうか。

『ひとり老後は「友活」で決まる』(ベスト新書)の著者で聖路加国際病院の保坂隆医師はこう話す。

「ひとり老後を満喫している人と、孤独で気力を失っている人との大きな違いは『友達の存在』です。特に、生活圏に住む友人は値千金。楽しい時間を共有しつつ、有事にはすぐ見に来てもらうことができる。行方不明や孤独死などのほとんどは避けられます」

 内閣府によると、阪神・淡路大震災では約8割が家族や近所の住民等によって救出されている。近くの友人の存在が、おひとりさまの味方になるのだ。

 こんなデータもある。日本老年学的評価研究(2015年)によると、65歳以上のうつ発症率を自治体別に調べたところ、家族や親戚以外からのサポートが充実している地域ほど低かった。米ブリガムヤング大学の研究では、孤独はたばこ15本と同じくらい健康リスクがあり、肥満の人より寿命が短かったという。

「話していてホッとしたり、支援や助けになったりする存在(ソーシャル・サポート)がいる人は、いない人に比べ病気になる確率が低い。これも多くのデータから明らかになっています」(保坂医師)

 友人は、楽しい人生の支えになるだけでなく、孤独死や病気までも防いでくれる。それならば、今からでもすぐに作りたいものだ。

週刊朝日 2015年12月4日号より抜粋