北海道の余市といえば、ウイスキーで有名。しかし、そんな地で生まれたのが、柚子の風味と涼やかな味わいが特徴的な“北海道ワイン”「レジェールモン・ドゥー 2013(白)」だ。
ワインを手がけたのは、若手醸造家の平川敦雄さんだ。多忙なワイン造りのかたわら、週末はホテルのレストランでソムリエとして働く。この業界では異色の存在だ。
日本の大学を経て1995年に、本場でワインを学びたいと渡仏。働きながら勉強を続けて、いずれも難関である農業技術士やワイン醸造士、ソムリエの国家資格を取得した。さらにボルドー地方のシャトー・マルゴーなど名だたるシャトーや三ツ星レストランで修業を積む。
2008年に帰国。北海道でソムリエとして働いていた時、ケルナー種で造られた余市町産のワインと出会う。
「香りも味わいもさらに上質なものになりそうだ。この町で、世界に通用するワインができる」。そう確信し、余市町でブドウを育て始めた。
柚子の香りが立ちのぼる、初夏の北海道のように爽やかなワインができた。甘さもわずかに感じられる。「レジェールモン・ドゥー」は、ほのかに甘いという仏語だ。
(監修・文/鹿取みゆき)
※週刊朝日 2015年6月26日号