「中学入学の時点では、勉強が好きではない生徒が多いため、全教員が丁寧に教えます。高野君のように真面目に授業を受け、難関大学を目指せる力がついた生徒には、それ相応の勉強法のアドバイスもしています」

 寺川教諭が高2の夏期講習で担当した「難関国立長文」では、まず東大の問題を見せたという。

「一歩ずつゴールを目指すというやり方ではなかなかゴールが見えず、やる気が出ない。だから、パラシュート方式でまずゴールを先に見せて、そこに到達するためのプロセスを各自が考えるよう、指導しました」

 高野さんが東大を目指したのは高2の夏から。それまでは学校に提出する計画表に目標と勉強時間を記録するだけだったが、東大の入試日から逆算し、合格するにはどうしたらいいかを考え、「この時期にはこれをやる」という計画を立てて実行した。

 寺内幹雄校長は、担任と生徒の距離感が大切と話す。

「生徒の個性を認め、押し付けでも放任でもない、バランスのとれた指導をしています。できるまで教え、『やればできる』という成功体験を積ませることによって、生徒は自信を持ちます。学力だけでなく、体力、豊かな感性、社会性、協調性を身につけられるよう、行事が多いし、学校周辺の清掃ボランティアにも取り組んでいます」

(庄村敦子)

週刊朝日 2015年2月6日号より抜粋

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