この記事の写真をすべて見る

 親からしてみれば、できるだけ偏差値の高い学校に入れたい中学受験。だが、中学受験時の偏差値は低くても、6年間で子どもの学力を伸ばし、難関大学に合格させている「お得な中高一貫校」もある。

『中学受験 入りやすくてお得な学校』などの著書がある森上教育研究所の森上展安代表は「お得な学校」の共通点をこう話す。

「入りやすくて、子どもの学力を伸ばしてくれる学校の多くが200人以内の小規模校です。生徒全員に目が行き届きやすく、それぞれの生徒に応じたきめ細かな指導ができます。生徒数に関係なく共通しているのは、中学段階で学習習慣と基礎学力を徹底的に身につけさせるということです」

 中学受験情報誌「進学レーダー」の井上修編集長は、「行事や部活が盛ん」というキーワードを挙げる。

「行事や部活を経験しながら、人間として成長していきます。行事が盛んな学校は子どもたちの幸せを願い、大事にしています。よく『面倒見のいい学校』という言葉が使われますが、何から何まで面倒を見ていると子どもの自主性が育ちません。本当の意味の『面倒見のいい学校』は、生徒が自立するためのサポートをしてくれる学校です」

 井上編集長は近年の傾向についてはこう語る。

「以前は、先取り学習をPRする学校が多かったが、最近は進度にこだわらず、生徒の苦手な分野に時間をかける学校が増えました」

 これらの傾向があてはまるのが、足立学園(東京)だ。2008年の偏差値は39だが、昨春、2人が東大に現役合格。そのうちの一人、東大文科二類1年の高野瑠人(たかのりゅうと)さんは、こう振り返る。

「中学受験時の偏差値は40弱。特別奨学生入試は不合格で、一般入試の2科目試験で入学しました。公立中の1.5倍の時間という授業を真剣に聴いて、わからないときは質問に行きました。担任の先生の授業はわかりやすくて英語が好きになり、高1のときに英検2級に合格しました。数学は中2までは追試が多かったけれど、じわじわと力がついて、中3では成績が上位になりました」

 高野さんの元担任で学習指導係の寺川信教諭はこう話す。

次のページ