一連の「PC遠隔操作事件」の片山祐輔被告(32)が、ついに「完オチ」した。

 5月16日、片山被告が出廷中に「真犯人」を名乗る人物からのメールが報道各社に送信された。これを受けて片山被告は改めて「無実」を主張したが、送信元のスマートフォンを河川敷に埋めているところを捜査員に確認されて「自作自演」が発覚。22日の公判では、無罪主張を一転させ、起訴内容をすべて認めた。

 片山被告は弁護団に自分が「サイコパス」だと語っているという。サイコパスとはどんな人間なのか。

「サイコパスとは俗称で、医学用語ではパーソナリティー障害とも呼びます。他人への迷惑行為に罪の意識がなく、平気でうそをつけるなどが顕著な特徴です。彼は『自己愛性』が強いタイプで、広義のサイコパスのように思えます」(臨床心理士の長谷川博一氏)

 このタイプは、自分は特別な存在として優位性を誇示し、誰かをおとしめることで喜びを得る特徴があるという。

「警察や弁護士を翻弄(ほんろう)したり、世間の話題となったりすることで、欲求を満たしていたのでしょう。すべてがばれた後で自殺を試みたのは、自己愛の維持が難しくなり、絶望感に襲われたのではないか」(同)

 犯行を認めた後、片山被告は自ら、「平気でうそがつける」と言い放っているという。

 新潟青陵大学大学院の碓井真史教授は、彼の精神構造をこう分析する。

「これは『演技性』のパーソナリティー障害とみられます。通常、うそをつく場合は罪悪感を覚えますが、この症状があると、次から次へとうそが湧き出て、自分も半分は本当だと信じてしまう。他人に褒められると、うそがどんどん大きくなり、自分でも楽しくなって止められなくなります」

 今後、弁護団は精神鑑定の申請を検討するという。保釈中の片山被告と面会したジャーナリストの江川紹子氏もこれに賛同する。

「罪を軽くするためというより、彼の『病理』を解明するために必要です。この事件は、警察の誤認逮捕がなければ埋もれていたはず。でも、こうした『心の問題』に起因する事件が、実はたくさんあるかもしれない。だからこそ、精神鑑定してでも真相に迫ってほしい」

 過剰な自己愛を守るために、4人もの誤認逮捕「被害者」を生んだ罪は、きちんと償わなければならない。

週刊朝日 2014年6月6日号