田中真紀子文科相 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 文部科学相の諮問機関である大学設置・学校法人審議会(設置審)が出した認可答申を、「残念ながら認可するわけにはいきません」と11月2日の閣議後会見で、田中真紀子文科相(68)がひっくり返した。外相時と同じ真紀子流の「大臣道」を突っ走ったが、結局9日には「関係者にご心配、ご迷惑をおかけし心からおわび申し上げます」と頭を下げた。

 じつは真紀子氏の今回の行動を、「よく言った」と称賛する声があるのも事実だ。ある政府高官は、「大学の認可の問題は、みんな手順がおかしいと思っていたけど言いだせなかった。漁船の建造や土地改良事業は国の許可や決定が出てからじゃないと着手できない。何で大学は認可前に校舎を建てたり、事業を展開したりできるのか」。

 加えて教育関係者からは、「パンドラの箱」を開けてくれたとする声もある。真紀子氏は騒動の間、繰り返しこう言った。

「大学の乱立を止めて質を確保し、時代の要請に合った卒業生を生み出すために、舵を切らなければならない」

 確かに、少子化で18歳人口が減っているのにもかかわらず、大学は増え続けている現状がある。教育ジャーナリストの野原明氏は、「大学の増えすぎを政治家や官僚が問題にしてこなかった中で、そこを突いた真紀子さんの発言は非常に鋭い。大学の問題に一石を投じた意味はあったと思います」と語る。

週刊朝日 2012年11月23日号