日本各地で猛暑が続いている。政府は、節電や地球温暖化対策として、エアコンの設定温度を28度にするように求めている。しかし、これが熱中症を引き起こすひとつの原因になっている場合もある。
日本生気象学会が作った熱中症を予防するための指標によると、熱中症になる危険度を気温と湿度の関係で示している。危険度が低い順に「注意」「警戒」「厳重警戒」「危険」の4段階にわかれている。気温28度を見ると、湿度55%で「警戒」に達している。日本医科大学付属病院・高度救命救急センターの横田裕行教授は、こう話す。
「この指標はあくまで健康な男性を対象としたもの。高齢者は、『注意』レベルでも、『危険』レベルだと思って対応したほうがいいでしょう。糖尿病や、脳卒中の後遺症がある人は、体温を調整する自律神経の働きが低下することがあります。体温が上がっているのに汗をかくことができなくなり、熱が体にこもってしまいます。このような持病がある人は十分な注意が必要です」
具体的に、どう対処すればいいのか。熱中症に詳しい安岡整形外科脳外科クリニックの安岡正蔵院長は、室内に温度と湿度の両方がわかる温湿度計の設置を勧める。
「家の広さなどで変わってきますが、エアコンを28度に設定しても、実際の気温が28度以上になっている、もしくは湿度が高いままで、適切に扇風機を併用せず、熱中症の危険度が高い状態になっていることがあります。気分が悪くなりそうであれば、エアコンの設定温度を1~2時間下げるほうがいいでしょう」
※週刊朝日 2013年7月26日号