スポーツを続けていると、そのスポーツの特性によってからだに痛みを生じることが多い。慢性スポーツ痛のひとつ、足底腱膜炎(そくていけんまくえん)は、ランナーなどに多い足裏の土踏まずの痛みだが、最近は中高年にも発症しているそうだ。

 埼玉県に住む大学1年生の三浦卓也さん(仮名・18歳)は現在、大学陸上部に所属する長距離走の選手だ。大学に入り本格的な練習に打ち込み始めたころ、朝起きて歩き始めたときに同じ部分に痛みがあることに気づく。さらに、2キロ以上を走ると強い痛みを感じるようになり、長距離を走ることができなくなったため、陸上部のすすめで善衆会病院を訪れ、同院理事長・院長の木村雅史医師に「足底髄膜炎」と診断された。

 足底髄膜炎は、短距離や長距離などのランニング、サッカー、バスケットボールの競技者に多くみられるという。よく知られている疾患ではないが、ランナーの増加にともない近年では増加傾向にあり、中高年にも発症しているそうだ。

 患者の多くは、三浦さんのように朝目覚めてから歩きだすときに痛みがあるが、少し時間がたつとその痛みがなくなるため、医療機関を訪ねることが遅れてしまうという。

 陸上部への復帰を強く望んでいた三浦さんは、木村医師の指導のもと、まずは足の指と関節の硬さを改善するストレッチと、消炎鎮痛剤による治療を試みた。足の縦のアーチをしっかりさせるためのテーピングや、アーチをサポートするため靴に中敷きを入れるなど、できる限りの療法を実践したという。しかし、痛みは軽減したものの、競技に復帰できるほどの改善はみられなかった。

 そこで次に木村医師がすすめたのが、衝撃波を患部に照射する新しい治療法である、体外衝撃波療法だ。約20年前から欧米を中心に普及していたこの療法に木村医師は着目し、数年前、国内でいち早く導入したのだという。

「体外衝撃波療法の利点は二つあります。痛みを誘発する物質を抑制することで痛みを取り除くことと、血管やコラーゲンなどの組織の再生を促し、変性した部分を修復させる働きがあることです」(同)

週刊朝日 2013年1月4・11日号