今年の選手権王者・静岡学園も新型コロナウイルスの影響で部活停止となり、今後が不安視される(c)朝日新聞社
今年の選手権王者・静岡学園も新型コロナウイルスの影響で部活停止となり、今後が不安視される(c)朝日新聞社
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 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。日本サッカー協会は3月27日と30日に予定していたU-23日本代表の南アフリカ、コートジボワール両国との親善試合2連戦の中止を正式決定。ミャンマー、モンゴルとの対戦が組まれている2022年カタールワールドカップ予選も延期確実の情勢となった。18日の再開を目指しているJリーグも感染者増加に歯止めがかからない現状を踏まえると、中断期間の延長が濃厚。早くとも4月第1週に再開できれば御の字という状況だ。

 影響を受けているのは、彼らトップレベルだけではない。全国公立小中高が3月2日から一斉休校に入ったことで、Jのアカデミーは活動休止に追い込まれ、学校の部活動も自粛。日本中の育成年代が宙ぶらりんな状態に陥っているのだ。

 ユース年代の最高峰リーグ「高円宮杯 JFA U-18プレミアリーグ2020」に参加する数少ない公立高校である市立船橋(千葉)、大津(本)もやはりトレーニングができなくなっている。市立船橋の場合、練習拠点となっている法典公園(グラスポ)が公共施設であるため使えず、選手たちは自主トレーニングさえもできない状況。第90回高校サッカー選手権優勝メンバーで市船OBの和泉竜司(鹿島)も「3月というのはチームを作っていく重要な時期だし、今後を考えると非常に難しいと思います」と後輩たちを慮っていた。

 私立の場合は休校するか否かは学校判断になるが、2019年の高円宮杯王者の青森山田(青森)は2日から休校を決定。部活動も自粛となり、4日にはU-17日本代表の松木玖生ら寮生を地元に返したという。

 日本代表の柴崎岳(デボルティーボ)らを育てた黒田剛監督は「3月は群馬のフェスティバルや福岡のサニックスカップなど3つほど遠征に出る予定でしたが、全て中止になりました。今は生徒に感染させないことが第一なので仕方ないと思います。状況次第では14日から練習再開できればと考えていましたが、終息が見えないので難しそう。正直、焦りはありますね」と頭を抱えていた。

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先の見えない状態で指導者も不安に