このように、この3月は育成年代の活動がほぼストップしたままだろう。コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからなければ、新年度の4月以降も活動再開できない可能性はゼロではない。日本協会は今のところ「4月4日の高円宮杯開幕は問題ない」と強気の姿勢を見せているというが、このまま行くと開幕の後ろ倒しなどの日程変更は避けられそうもない。場合によってはリーグ戦日程の短縮なども考えなければいけなくなりそうだ。最高峰リーグがそういう状況なら、全国9地域で行われているプリンスリーグや都府県リーグなども全て日程見直しが必要になる。
空白期間が長くなり、実戦から遠ざかれば遠ざかるほど、選手たちのコンディションが悪くなり、パフォーマンスも低下していく。今年はU-16とU-19日本代表も世界切符を賭けたアジア最終予選を控えているため、所属チームでの選手強化が思うように進まなければ、そちらへのダメージも出かねない。育成年代の停滞は近未来の日本サッカーの停滞につながってしまう。
感染症の専門家には「屋外スポーツであるサッカーなどはコロナウイルスの感染リスクが低い」と言う人もいる。ボールやゴールなどの用具を扱う際に細心の注意を払い、飛沫感染を防ぐために吸水用のペットボトルを個別に用意し、手洗いや消毒、うがいを徹底するといった対策を講じれば、活動再開への道が開けてくる可能性もあるのではないか。
そのあたりをサッカー界としてどう考え、アクションを起こしていくかが今後の課題になってくる。協会サイドが目下、職員全員をテレワークにしている状態だけに、育成年代の安全マニュアルを作るまで手が回っていないのかもしれないが、何とか長期化させない方向に持っていくこと。そこに期待を寄せたいものだ。(文・元川悦子)