同校OBの日本代表・室屋成(FC東京)も「青森は3月も雪が深くて実戦ができないんで、春休みにいろんなところに遠征するのはすごく大事なんです。僕らの時もスタメン争いが激しかったし、春休みに大きく伸びた選手もいた。その貴重な時期がなくなるのはやっぱり大変ですよね」と焦燥感をにじませる恩師の思いを代弁していた。

 その青森山田に1月13日の第98回選手権決勝で勝利し、頂点に輝いた静岡学園も4日から部活休止に入っている。選手権優勝メンバー数人が出場する予定だった8日の静岡県ヤングサッカーフェスティバルもなくなってしまい、チーム全体の失望感は大きい。川口修監督も「学校の休校に伴って今は部活も活動できない状況です。選手に特別なメニューを与えるとかもやっていませんが、コンディション的には心配です」と懸念を示しており、今後が不安視されるところだ。

 彼らと同じ強豪校で、2020年高円宮杯参戦組の流通経済大学付属柏(千葉)も当面、17日まで活動自粛をするというが、先の見通しは全く立たない。再開か休止延長をいつ決めるのかというアナウンスも現時点で未定だという。2020年から正式に新指揮官となった榎本雅大監督は「家庭の事情などで実家に戻れない寮生が14人いるので、彼らは残って体を動かすくらいのことはしています。それ以外は実家に帰し、腹筋・背筋やランニング、ボールコントロールなどの個人メニューを渡し、学業の課題も与えていますが、本当にやっているかどうか分からないですね」と不安を口にしている。

 Jリーグクラブから関心を寄せられる松原颯汰(2年)が部活休止になったタイミングで湘南ベルマーレ、新主将でU-18日本代表DF藤井海和が名古屋グランパスに練習参加したように、J入りが有力視される新3年生はまだそういう形でプレー環境を確保できる可能性はあるだろう。しかしながら、他の選手はそれぞれの自主性に任せるしかない。同校OBの小川諒也(FC東京)は「僕らがその立場だったら最初は遊んでしまうかもしれないですね。自立心を持って取り組むのは高校生にとって難しいと思います」と語っていた。

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活動休止の余波は日本サッカーの未来にも影響が