今や大女優の貫禄。松たか子 (C)朝日新聞社
今や大女優の貫禄。松たか子 (C)朝日新聞社
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 松たか子が米国のアカデミー賞の授賞式に登場した。アニメ映画「アナと雪の女王2」の日本語版に出演したことから、同作のメイン曲をリレー形式で歌唱する企画に参加。また、1月に公開された主演映画「ラストレター」も好評で、いまや押しも押されもせぬトップスターである。

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 そんな松がかつて、バッシングにさらされたことがある。97年のことだ。

 彼女は前年、月9ドラマ「ロングバケーション」や大河ドラマ「秀吉」に出演し、暮れには「紅白歌合戦」の紅組司会を史上最年少の19歳で務めた。明けて正月には、スペシャルドラマ「僕が僕であるために」でSMAPと共演。3月に「明日、春が来たら」で歌手デビューを果たすと、暮れには「紅白」に歌手として初出場した。

 そして、この時期の彼女を何より印象づけたのが、97年10月期の月9「ラブジェネレーション」でヒロインを演じたことだ。平均視聴率30.8%という大ヒットドラマは、彼女の代表作になっただけでなく、バッシングをよりエスカレートさせた。人気絶頂期の木村拓哉の相手役を務めたことが、女性ファンの嫉妬を買ったのである。

 実際、バッシングの急先鋒は女性週刊誌(「週刊女性」)だった。その激しさやしつこさについては、他のメディアにこう皮肉られたほどだ。

「この雑誌は確信犯的に松叩きに精を出している。根拠に信憑性が欠けており、聖子叩きの面白さやひところの明菜ウォッチングのバカバカしさがない。幸四郎一家あるいは松をよく思わない人物が背景にいるようでもある」(「噂の真相」97年9月号)

 たしかに、一連のバッシング記事のなかには「松たか子は『あぐり』にはなれない」というタイトルのものまであった。97年に放送された朝ドラのヒロイン(吉行あぐり)の生き方と比較した内容だが、松だって別に「あぐり」になりたいわけではないだろう、と、ツッコミのひとつも入れたくなる。

 ただ当時「週刊女性」にも「噂の真相」にも関わっていた者としては「よく思わない人物が背景にいる」という見方はさすがに深読みが過ぎると感じたものだ。実際は、バッシング記事の読者ウケがよく、しかも松の事務所が大手でもなかったから繰り返されていただけのことだろう。

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芸能人としての松の特殊性