とにかく動画をだせば再生されて、お金になったので、2017年の夏休みは撮影と編集に夢中になりました。家族旅行中も編集作業に追われ、在宅中も撮影や撮影の準備、小道具の制作や準備、マーケティングや他のチャンネルのチェックをしていました。買い物に行っても衣装以外の服を選ぶ時間もなく、動画以外のことを考える時間もありませんでした。とにかく昼も夜も、体力も時間も思考も全てYoutubeにささげていました。

 それでも家族との時間は十分に取っていたのですが、夫はアシスタントとして、息子は演者として、私は動画制作者として過ごす時間のほうが多かったのです。

 夏休みが過ぎ、9月になると体調が悪くなって動画が作れなくなりました。体調不良の主な原因は、長女の妊娠でした。つわりでPCの画面で酔ってしまい、編集ができなくなったのです。

 しかしそれが大きな転機になりました。おなかに宿った長女が、私に休むことの大切さを教えてくれたのです。妊娠中に、読書をしたり、動画とは全然関係のないお出かけをしたり、家族と充実した時間を過ごして、夏の自分の異常さを実感したのです。

 がむしゃらに働いていたときは、再生回数や収益や登録者数という目の前の数字で頭がいっぱいで、Youtube以外の事に気が回りませんでした。

 この状態に陥っている人は、YouTuberだけに限らないと思います。家族のために働いているのに、家族のために時間を使えない状態です。仕事中心の思考回路になり、ワークライフバランスが崩れています。人生で一番大切なのは、家族や愛する人と過ごす時間だと思います。当たり前の事かもしれませんが、私が働きすぎた末に至った結論です。

 お金を稼ぐことももちろん大切ですが、過剰労働で精神的にも体力的にも疲弊し、正常な思考回路を失ったら手遅れになります。当時は働きすぎていることを注意する人も、心配する人もいませんでした。多くのYoutuberが、毎日投稿していたからです。

 現在は、ヒカキンさんを含む有名Youtuberの何組かは毎日投稿をやめ、2~3日に1本の投稿頻度にしています。過剰労働の限界を感じ、ライフワークバランスを整えたかったYoutuberは私だけではなかったのです。

 Youtuberは稼ごうと思えばいくらでも稼げます。たくさん動画を投稿すれば、たくさんお金が稼げます。でも、仕事の数字だけにとらわれたらバランスを崩して不幸になります。同じ現象は、他業種でも起こっています。

 人生を豊かにするのは、仕事ではなく、休んでいる時間の過ごし方にあるということを忘れなければ、どんな仕事でも働きすぎてライフワークバランスを崩すことは防げると思います。

■プロフィール
なーちゃん/二児のママ兼YouTuber。2014年にチャンネルを開設。長男・こうちゃんと出演する動画は子どもから親まで幅広い層から人気を集め、”ファミリー系YouTuber”としてカリスマ的存在に。登録者数212万人、総再生回数13億回を誇る。YouTube Twitter

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