【中日】
2019年外国人選手活躍度:B
来季の外国人選手展望:B

・外国人投手合計成績
128試合12勝18敗9セーブ55ホールド

・外国人野手合計成績
192試合222安打25本塁打118打点2盗塁

・外国人選手MVP:ロドリゲス
64試合3勝4敗1セーブ41ホールド 防御率1.64

 投手陣は新外国人のロメロが先発として8勝をマーク。防御率は4点台と少し安定感は欠いたものの、先発として貴重な戦力となった。そして大きかったのがロドリゲス、R・マルティネスのリリーフ投手二人だ。特にロドリゲスはリーグトップの41ホールドをマーク。防御率も1点台とセットアッパーとして十分な働きを見せ、MVPに選出した。

 野手はアルモンテが故障で離脱したのは痛かったが、ビシエドが全試合に出場して2年連続で打率3割、90打点をクリアするなど主砲として見事な活躍を見せた。年齢的にもまだ若く、本人も家族も日本が気に入っているということで、今後も長く活躍できそうな雰囲気があるのは非常に大きいと言えるだろう。

 来季に向けて気がかりなのがロドリゲスの動向だ。すでに複数の他球団が獲得を狙っていると報道されており、去就は不透明な状態が続いている。もし流出ということになれば、大きな痛手になることは間違いない。また、長年チームの外国人選手獲得を手掛けてきた森繁和シニアディレクターが退団したことも不安要素の一つと言える。早急に新たなルートを確立する必要があるだろう。

【ヤクルト】
2019年外国人選手活躍度:B
来季の外国人選手展望:C

・外国人投手合計成績
155試合12勝15敗14セーブ44ホールド

・外国人野手合計成績
120試合115安打33本塁打93打点0盗塁

・外国人選手MVP:バレンティン
120試合115安打33本塁打93打点0盗塁 打率.280

 投手陣の苦しい台所事情もあって、1年を通じて外国人は投手3人、野手1人の体制で戦ってきたヤクルト。バレンティンは昨年よりも少し成績は落としたものの、30本塁打、90打点をクリアし、相変わらずのパワーを見せつけた。投手陣はリリーフのハフとマクガフがフル回転。ともに完璧な投球を見せることは少なかったものの、どんな場面でも淡々と投げる姿は日本人投手にとっても良い影響を与えているように見えた。ただ先発のブキャナンが大きく成績を落とし、来日3年目で最低となる4勝に終わったことは大きな誤算だったと言えるだろう。

 来季に向けては日本人扱いになるバレンティンの動向が最大のポイントとなる。FA権の行使は見送り、11月中はヤクルトに交渉権があるものの、巨人ソフトバンクなどが獲得に動いていると報道されており、その去就はまだまだ不透明だ。新外国人として守備に定評のあるエスコバーを獲得したものの、投手も野手も戦力は不足している。今後キャンプインまでにしっかりと布陣を固められなければ、来季も苦しい戦いとなりそうだ。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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