その後も西日本を度々襲う集中豪雨、昨秋に関西圏を中心に電柱が1000本以上も倒れ240万戸を停電させた台風21号など、恐らくは地球温暖化による気候変動の影響だろう、今までの常識では考えられないような大災害が次々に起きているし、さらに首都圏直下型地震や東海・南海巨大地震などもいつ起きてもおかしくないと言われている。こうなると国や自治体、電力会社はもちろんのこと、我々個人のレベルまでも、「Think Unthinkable(考えられないことまで考える)」の思考法を徹底して、生き残り策を講じなければならないのだろう。

 それには想像力の拡張が必要で、今回はたまたま房総半島西岸を通過したけれども、もしこの台風が少し西にずれて、三浦半島の相模湾岸から横浜・川崎・東京を通過したらどんなことになっていたのか。日本経済新聞13日付「春秋」欄が「数十キロずれただけで東京は大打撃を受け、電気も水も途絶えていたかもしれない。……今度の被災地が千葉だったのは偶然にすぎない。地球温暖化の影響で、台風が強大化しやすくなっているという。今回のケースは想定外だったとの釈明も聞こえる。それにしてもこの対応の遅さは、台風と闘ってきた国にあるまじきことだ」と述べているのは至当である。

■国も県も動いたのは3日後

 安倍政権とそれに追従するマスコミは、10日から12日にかけてはもっぱら党・内閣の人事改造に関心を注ぎ、「進次郎入閣サプライズ」などと浮かれていた。その頃我々被災者は、電気も水もない、電話もネットも通じない中で、東電の「11日中には完全復旧をめざす」という当初発表にすがりつく思いで生きる道を探っていた。11日中というのは嘘で、12日にも13日にも我が家の辺りでは何も回復せず、すでに復旧したと聞いた鴨川市中心部の亀田病院やその並びの鴨川温泉ホテル街に行ってカフェでの食事や市民に無料開放された温泉入浴にようやくありついた。

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見えてこなかった自宅避難民