ホンダのスペック4のポテンシャルは飛躍的に向上したと見てよいだろう。グリッド後方に沈んだ予選から巻き返したクビアトの走りが何よりの証左だ。今戦は他のメーカーもPUをアップデートしたが、トラブルフリーだったのはホンダだけ。信頼性も担保されていることだろう。
次戦のイタリアGPは超高速のモンツァ・サーキット。下馬評ではフェラーリが優位となっているが、ホンダにも充分チャンスがあることを今戦で証明できた。ホンダの咆哮はスパの森に可能性を響かせた。
今戦は高速域に強いフェラーリが速く、シャルル・ルクレールが初優勝を遂げた。次戦はハイパワーのフェラーリなのか、パッケージングのメルセデスなのか、可能性のレッドブルなのか。また中団グループではトロロッソが地元イタリアでどんなパフォーマンスを発揮するのか。今から楽しみだ。さらにはロシアGPを目処にエクソンモービルの燃料やオイルのアップデートも予定されていて、さらなる上積みも考えられる。
成熟したスペック4と新しいオイルを携えて、ホンダPUは日本に帰ってくる。可能性は一番大きいPUだ。目が離せないシーズン後半戦の幕開けとなった。
最後に、F2での重大事故により重傷を負ったファン・マヌエル・コレア選手の回復を願い、また亡くなったアントワヌ・ユベール選手への哀悼の意を表します。(文・野村和司)