20歳の渋野日向子が、AIG全英女子オープンで42年ぶりの日本人メジャー優勝を果たしたことで、女子ゴルフが再び脚光を浴びている。渋野の凱旋出場となった北海道meijiカップでは、札幌国際カントリークラブで大会が開催されてから最多となる1万6,407人を3日間で動員。「シブコフィーバー」ぶりを示す結果となった。
渋野は、これまでと180度激変したメディアや周囲への対応に終われ疲労度も相当なものだろうが凱旋試合を13位タイでフィニッシュ。帰国2戦目のNEC軽井沢72ゴルフトーナメントでも、上位進出や優勝という相当なプレッシャーをかけられそうだ。
しかし、渋野のプレーは周囲のこうした重圧を受けにくいようだ。プロ、アマを問わず多くのゴルファーを指導しゴルフメディアでも活躍する中井学プロは、次のように評価する。「渋野選手のスイングは、メンタルに揺さぶられないスイングです。パッティングも魅力的ですが、実はアイアンが非常に良いです。インパクトからフォローにかけてのハンドアクションが少なく身体でヘッドを返しています。これは長持ちするし、プレッシャーがかかっていても、それがショットのミスになりにくいスイングをしています」。
一方、渋野は、国内で今季2勝する活躍を見せているがプロテストに合格したのは昨年のことでそれまでは無名、いわば突然現れたヒロインだ。女子ツアーには過去にもこうして彗星のごとく現れスターダムに登りつめた後に、長続きせず旬が短くなってしまう選手が少なくない印象がある。余計なお世話ではあるが、今回の空前の盛り上がりを見ると、渋野もそうした道を辿ってしまうのではないかという一抹の不安もよぎる。
ここ数年だけ見ても、国内では森田理香子、堀奈津佳、渡邉彩香らがトッププロとなった後に低迷した現実がある。例えば森田は2013年に賞金女王にまで君臨したが、2015年に賞金ランク20位になるとそれ以降は不振に陥り、昨年はニチレイレディスが最後の出場で賞金ランクは131位。現在は休養中となっている。