フルボトルのワインは1本750mLだ。だから、男性の4単位はワイン約1本ちょっとにあたる。割と多い。しかし、この研究はバイアスのリスクが排除されていないという批判もあった。

 最近行われたイングランドでの研究だと、非飲酒者(全く飲酒歴がない者)と、いろいろな量の飲酒者をグループ化し、男女、そして60~64歳と65歳以上に分けて10年近く追跡し、全死亡率に差が出るかどうかを検証した。

 確かに飲酒者のほうが非飲酒者よりも全死亡率は低かったのだが、ライフスタイルなどいろいろな交絡因子を調整すると、そのような飲酒の利益は消失した。ほとんどのグループでは非飲酒者と少量の飲酒者、大量飲酒者では全死亡率に差は見られなかったのだ。

 ただし、65歳以上の女性においてのみ、非飲酒者よりも飲酒者のほうが全死亡率は低くなっていた。しかし著者らは「この結果には他の交絡因子が関与している可能性がある」と慎重な態度を示している(Knott CS et al. BMJ. 2015 Feb 10;350:h384)。

 Knottらの研究で興味深かったことは他にもある。週20単位以上飲んでいる飲酒者であっても非飲酒者や少量飲酒者と比べて全死亡率に増加が見られなかったことだ。週20単位ですと1日2.8単位ちょっとということになる。ワインだと570mLくらいだ。

■喫煙と死亡リスクは線、アルコールはJカーブ

 Chokshiらによると、喫煙と死亡リスクの関係は線形だ。つまり、たくさん吸えば吸うほど、リスクは高まる。一方、アルコールのリスクは「Jカーブ」を描く。

 つまり、全く飲まないよりも少し飲んだほうが健康には有益だが、あまり飲みすぎるとリスクは増していく、というものだ(Chokshi DA et al. JAMA. 2015 Oct 6;314(13):1339–40)。Pasted Graphic.pdf ¬

 他方、最近の研究では週100gのアルコール、つまり1日1、2杯程度のワインやビール以上の飲酒で死亡リスクが上がるというデータも出ている。Jカーブなど存在しないというものだ。

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研究によって異なるアルコールの解釈