週100gというと、従来の「許容できる」飲酒量よりもずっと少ない量だ。いわゆる「酒飲み」の飲酒量は寿命を縮める、というものである。この研究によると、40歳の段階で「1日1杯未満」と大量飲酒者では、4、5年程度の余命の違いがあるという。Wood AM, Kaptoge S, Butterworth AS, Willeit P, Warnakula S, Bolton T, et al. Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599 912 current drinkers in 83 prospective studies. The Lancet. 2018 Apr 14;391(10129):1513–23.

 このように、研究によって飲酒の効能や害の解釈は異なる。しかし、アルコール飲料、飲酒、という観点から言えば、飲まないのが一番寿命が長く、飲めば飲むほど寿命は短くなっていく、というのが最新のデータの示唆するところだ。つまり、寿命という観点からは「適切な飲酒量は存在しない」ということを意味している。

著者プロフィールを見る
岩田健太郎

岩田健太郎

岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著にもやしもんと感染症屋の気になる菌辞典など

岩田健太郎の記事一覧はこちら