
巨人が首位陥落の危機に直面している。2日から行われた2位DeNAとの3連戦でまさかの3連敗。これで今季ワーストの5連敗、5カード連続の負け越しとなり、独走状態だった7月中旬には最大10.5あったゲーム差が0.5にまで詰め寄られた。
残り40試合あまりとなったこのタイミングで、今季11勝をあげている山口俊、投手陣からの信頼が厚い捕手の炭谷銀仁朗、勝負強い打撃を見せる陽岱鋼が揃って離脱した影響も大きく、歯車が噛み合わない試合が続いている。
中でも特に状態が心配されているのが4番の岡本和真だ。昨年はシーズンを通して、好調を維持し、6月には第89代目の4番打者に抜擢され、最年少で「3割30本100打点」を達成した。
しかし、今季は開幕から不振が続き、打率は.250付近から一向に上昇する気配はなく、7月には三冠王を狙えるほどの活躍をみせている坂本勇人に4番の座を一時奪われた。
大一番であったDeNAとの3連戦でも9打数2安打5三振とバットは湿りっぱなし。2戦目では13試合ぶりのスリーランホームランを放ったものの、1戦目は無安打、3戦目では1四球3三振と絶不調。始動が遅いせいか、バットがボールにまったく当たらない。2番坂本、3番丸佳浩が作ったせっかくのチャンスをことごとく潰す光景が目立ち、客席からも厳しい野次が飛んだ。「今日は僕が打っていたら勝てた」と敗戦の責任も背負い込んだが、試合中は結果が出ないことに苛立ち、ヘルメットを叩きつける醜態も晒した。
岡本の今季の成績で象徴的なのが得点圏打率の低さだ。昨年の岡本の得点圏打率は.342だったが、今季は.230にまで落ち込んでいる。これは、セ・リーグ球団の4番打者の中で最も低い数字だ。さらに得点圏でのホームランもわずか2本しか打てていない。岡本は、今シーズン18本のホームランを打っているが、その6割以上を占める12本がソロホームランだ(ツーラン4本、スリーラン2本)。これは、かつてあまりにソロホームランが多いことから「ソローロ」と呼ばれた中日時代のゲレーロ(現・巨人)の2017年の成績(35本中22本がソロ)とほぼ同じソロ率だ。これでは、好調な坂本、丸がいくら出塁したとしても大量得点は期待できない。このまま「4番・岡本」の不振が続けば、チームの復調は難しいと言わざるをえないだろう。
巨人は6日から中日、ヤクルト、広島の9連戦に臨む。まずは今季10勝4敗と相性の良い中日との対戦ではずみをつけたいところだが、原監督は「4番・岡本」を貫くのか。それとも非情采配を下すのか。「優勝」が至上命令となっている今季の巨人に、若き主砲の復調を待つ時間はそう長くはない。(文/AERA dot.編集部・岡本直也)