ベンゼン(C6H6)のカドッコ(置換基)がひとつヒドロキシ基(OH)になるとフェノール、これがたくさん含まれるのがポリフェノール、ポリフェノールの一部で特定の性質を持つものをタンニンと呼ぶ。

 疲れましたか。お気になさらず。ぼくも生化学は素人だ。

 生化学と取っ組み合うのは学生時代に勉強して以来なので、数十年前の遠い記憶を呼び起こしながら本稿を書いている。

 要するに、ポリフェノールは生化学的な分類であり、タンニンは食品の性質(具体的には味覚)を表現した物質と言ってよいのではなかろうか。では、タンニンの性質とは何かというと、口に入れたときの味覚の一つ「渋み」だ。きゅっと舌が絞り込まれるような独特の感覚だ。

 タンニン成分が強いカベルネ・ソーヴィニヨン(フランスを始め世界各国で使われている)やシラー(シラーズ)(フランスのローヌ地方とオーストラリアが有名)、ネッビオーロ(イタリアのピエモンテ州が有名)を原料とするワインを飲むと強い渋みを感じる。  

 これは舌や口腔粘膜を作るタンパク質とタンニンが結合して変性したときに感じる味覚だそうだ。ワインテイスティングではこれを「収斂作用」という。

 逆にテンプラニーニョ(スペイン)、カベルネ・フラン(フランスなど)、ピノ・ノワール(ブルゴーニュ他世界各地)、メルロー(ボルドーほか世界各地)のような赤ブドウにはタンニンが少なく、よって収斂作用も乏しい。

 タンニンの渋味は、タンニンが液体に解けた状態でないと発揮しない。乾燥させると渋みは失われる。渋柿を干して干し柿にすると甘いのはそのためだという。

 タンニンが含まれる食物で有名なのが、茶、柿、ワインだ。なお、お茶に多く含まれるのはカテキンとよく言われる。

 しかし、これ(cathechin)はC15H14O6で表す化合物とその誘導体で、そのようなポリフェノールを一般に「カテキン」と読んでいるのだそうだ。そして、カテキンもタンニンの一種なのだ。ああ、ややこしい。

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