ここから、理性が育っていき、感情をコントロールするようになっていくのだなあ。
大人になって再び解放するのはとても難しいのだ。
まあ、役者にでもならない限り、大人になってから感情を解放するのを必要とされることなんてないけど。
いついかなる時も冷静に、物事に対処する。これが大人のあるべき姿だ。
その証拠にどうだ。チビよ。
お前が口いっぱいの味噌汁をぶーーーっ! と顔にかけようが、オムツを脱いで、床にオシッコを漏らそうが、服のまま風呂場で水浸しになろうが、壁にクレヨンで落書きしようが、母は僧侶のごとく冷静に対処しているであろう。
私がこうしてしっかりと大人になっているからこそ、おまえは天真爛漫に羽ばたいてゆけるのだよ。
お前を守っていかなくちゃいけないんだからね。
いついかなる時もおだやかな気持ちで。
かつ、何かあれば素早く手を差し伸べ対処する。
おまえを見つめる母の顔は、菩薩のようであろう?
なんだか、悟りを開く日も近いような気がしているよ。
もう、ちょっとやそっとのことで動じたり、声を荒げることもない気がする。
ちょっと、パパ!! はやくご飯食べてよ!
うどんのびちゃうじゃないのよ!
食べながらウロウロしないでよ!!
あ! ちょっとなにこれ、椅子の上に何か置いたでしょ!
座っちゃったじゃないよ、痛った! え、なにこれ。
石!!!