■末端区間の廃止からわずか4年で全線廃止の可能性も

留萌本線深川~留萌間

 留萌本線は2016年12月5日、末端区間の留萌~増毛(ましけ)間が廃止され、深川~留萌間50・1キロの路線となった。「本線」としては日本一短く、留萌から幌延(ほろのべ)へと延びていた羽幌線が1987年に廃止されたため、分岐する支線もない。部分廃止から2年に満たない2018年11月17日、JR北海道は国と北海道に対し、残る深川~留萌間の全線も廃止、バス転換したいとの意向を示した。

 地元の留萌市・秩父別(ちっぷべつ)町・沼田町・深川市の2市2町は反発姿勢を強め、特に「留萌本線廃止反対」を掲げて18年3月に就任した中西俊司留萌市長は「ありえない」とした。以降は「JR留萌本線沿線自治体会議」の実務者レベルによる協議が続けられている。
 
 留萌本線の線路は、石狩平野最北部の田園地帯を進む。北一已(きたいちゃん)はトップレベルの難読駅名。北秩父別は周囲に民家のない“秘境駅”のひとつだが、すぐそばに深川留萌自動車道の築堤が設けられたため、ひなびた印象は薄れた。同自動車道は1998年以降、留萌本線に沿って延伸を続け、すでに留萌大和田インターチェンジ(IC)まで完成。残り4.4キロの終点・留萌IC(仮称)への全通が2019年度中になされる予定だ。この高規格道路の存在も、留萌本線廃止への大きな要因となっている。

 雨竜川橋梁(きょうりょう)を渡った石狩沼田は、かつての札沼線の分岐駅。近くの「ほろしん温泉ほたる館」には、沿線の恵比島(えびしま)~昭和間にあった留萌鉄道(1971年廃止)などを走ったドイツ・クラウス社1889年製造の15号蒸気機関車(SL)が保存されている。

 真布(まっぷ)も秘境駅。恵比島は1999年に放映されたNHK連続テレビ小説「すずらん」の舞台「明日萌驛(あしもいえき)」のロケ地だった。実際の駅舎は貨車に木板を被せたものだが、セットとして建てられた木造駅舎が残る。恵比島の西で峠を越えて、列車は日本海沿岸の留萌へ向けて下っていく。

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1日平均乗車人員はわずか61人