感染症は微生物が起こす病気である。そして、ワインや日本酒などのアルコールは、微生物が発酵によって作り出す飲み物である。両者の共通項は、とても多いのだ。
感染症を専門とする医師であり、健康に関するプロであると同時に、日本ソムリエ協会認定のシニア・ワイン・エキスパートでもある岩田健太郎先生が「ワインと健康の関係」について解説したこの連載が本になりました!『ワインは毒か、薬か。』(朝日新聞出版)カバーは『もやしもん』で大人気の漫画家、石川雅之先生の書き下ろしで、4Pの漫画も収録しています。
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ヨーグルトは牛乳を乳酸菌などで発酵させ、酸っぱくしたものだ。酸性に傾いた牛乳はカゼインという物質が固形化するので、ヨーグルトの多くは固体である(「飲むヨーグルト」もありますが)。
国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)らが作った委員会のヨーグルトの定義はStreptococcus thermophilus とLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricusの2菌種を使用したものだという。S. thermophilusがギ酸と二酸化炭素を作り、それがL. bulgaricusの発育を促進する。L. bulgaricusは乳たんぱく質を加水分解し、ペプチドやアミノ酸を生成する。これがS. thermophilusの増殖を促進する。つまりは両者が共生関係にあるということだ。
■乳酸を作る菌の総称が「乳酸菌」
何度も繰り返しているが、乳酸を作る菌の総称が「乳酸菌」である。その中にS. thermophilusやL. delbrueckii subsp. bulgaricusが含まれる。
ちなみに「ビフィズス菌」はBifidobacterium属のことで乳酸生成能が高くなく、乳酸菌にはカテゴライズされない。ビフィズス菌は乳酸菌ではない、ということだ。これは小田宗宏氏の『ヨーグルトと微生物』(2016年)による。ちなみにちなみに、2018年12月26日に閲覧したWikipediaによると、「ビフィズス菌は乳酸菌のなかの一種類であり、「乳酸菌とビフィズス菌は違う菌である」とする言い方は正しくない」とある。ふむふむ、である。どっちなんでしょうね。