新設計のレンズで使いやすさを向上

 レンズも新規設計。35ミリ判換算で28ミリ相当になるGRレンズ 18.3ミリF2.8は、4群6枚構成だ。高屈折率低分散ガラス、高精度ガラスモールド非球面レンズを最適配置したという。開示されたMTFを見ると天井に近い。また、マクロ切り替え時に最短撮影距離が約0.06メートルになったことにも驚く。マクロモード時には約0.06~0.12メートルの範囲でAFが動作する。GRII(マクロモードでも最短約0.1メートル)の寄れない不満が解消された。また2段分のNDフィルターを内蔵し、晴天下でも低速シャッターを切れるようになった。

 光学系を薄型にすることで、SR(手ブレ補正機構)を内蔵したことも特筆すべき点だ。センサーはこれも新しいAPS-Cサイズの有効約2424万画素のセンサー。ローパスフィルターはないが、必要に応じてSRを応用して利かせられる。

レスポンス大幅に向上 史上最高のGR

 画像処理エンジンはGR ENGINE 6と名づけられた新しいもの。

 最高感度は10万2400。APS-Cという大型センサーの特性を生かし、超高感度域でも高画質を実現し階調再現に優れる。手ブレ補正内蔵と、高感度領域の撮影拡大でストロボの省略も納得できる。面白いのはJPEG記録した画像を画質調整して、新規保存ができること。RAW記録並みの調整を可能にしている。RAWは14ビットのDNG形式での記録だ。

 イメージコントロールとよばれるエフェクト効果も10種あり、モノクロだけでも4種、ポジフィルムやレトロ調といった凝った効果も得られ、基本的なパラメーターによる画像設定とも組み合わせることが可能だ。ADJ.レバーやFnボタンも使いやすくカスタマイズできる。さらにレンズ一体型ながらセンサークリーニング機能もある。

 レンズが新しくなったことで、ワイドコンバージョンレンズも専用のものを新開発。画角は35ミリ判換算で21ミリ相当になる。以前と異なりコンバージョン装着時に特別な設定は必要ない。

 見た目だけではその真価はわからない。触れてみて驚いたのがGRIIIである。とにかく自分の目よりも素早くGRIIIは被写体をとらえてしまう感覚、そのくらいレスポンスに優れる。階調の再現性、緻密な鮮鋭感、露出精度の高さやAFの精度もGR史上最高のものだ。

 1994年にフィルムのGR1が出たとき、視線の延長にあるカメラと評した記憶があるが、同じ感覚がGRIIIにより完全に復活したことを喜びたい。

写真・解説:赤城耕一

アサヒカメラ2019年4月号より抜粋

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