ストーブリーグの勝ち組は日本ハム? 栗山監督(右)と新たに加入した金子弌大投手 (c)朝日新聞社
ストーブリーグの勝ち組は日本ハム? 栗山監督(右)と新たに加入した金子弌大投手 (c)朝日新聞社

 今オフのストーブリーグで「最も効果的な戦力補強を敢行した」と球界内で評価が高いのが日本ハムだ。他球団との争奪戦で台湾の強打者・王柏融の獲得に成功し、救援陣は前カブスの158キロ右腕・ハンコック、ヤクルトから秋吉亮のトレード加入で強固になった。ドラフトも数年先を見据え、1位の金足農・吉田輝星、2位の花咲徳栄・野村佑希ら将来の主力を担う「甲子園スター」たちの獲得に成功した。

 最も大きなプラスアルファはオリックスを自由契約になり、電撃獲得した通算120勝右腕・金子弌大だ。今季は4勝止まりだったが実力は申し分ない。新天地で2ケタ勝利をマークする能力は十分にある。また、他の投手への相乗効果も期待できる。有原航平、白村明弘ら150キロを超える球を投げながら、結果を残せず伸び悩んでいる若手投手たちが多い。打者を打ち取る術を知り尽くしている金子の投球は参考になることが多いだろう。スコアラーは「金子は全盛期の力はないかもしれませんが、先発ローテーションで計算が立ちます。右肩に不安を抱える岩隈よりはるかに効果的な補強ですよ。2018年2ケタ勝利を挙げたマルティネスの残留も大きい。野手も中田翔、西川遥輝、近藤健介、大田泰示、中島卓也と脂が乗り切った選手が多い。ここに王柏融が入ったら打線はさらに強力になる」と分析する。

 来季のリーグ優勝に向けて追い風も吹いている。今季リーグ覇者の西武はエースの菊池雄星がメジャー挑戦、主将の浅村栄斗がFA楽天に移籍。投打の軸が抜けて大幅な戦力ダウンは否めない。2年連続日本一のソフトバンクも盤石ではない。チームを長年支えてきた内川聖一、松田宣浩らベテランも衰えが見られるようになり、スタメンを外れることも珍しくない。FAでも浅村、西勇輝の獲得を断念するなど外部からの補強で目立った上積みはなかった。日本ハムが上位2強の牙城を切り崩す可能性は十分にある。

 頭を悩ませるのは日本の将来を担う長距離砲・清宮幸太郎の起用法だ。新人の今季は主に指名打者で出場し、53試合出場で7本塁打と大器の片りんを見せた。だが来季は王柏融が加入する。一塁も中田翔がいるため、出場機会を増やすために今オフは外野に挑戦しているが、主力を担う西川、大田、近藤の壁は厚い。

 栗山監督はぜいたくな悩み?の中でどのように選手を起用するかも勝負のカギを握りそうだ。(今中洋介)