しかし、寝かせるときは仰向けでも、その後赤ちゃんが自分で寝返りをしたときは、どう対処すればよいのでしょうか?
実はアメリカ小児学会は、仰向けからうつぶせ、そしてうつぶせから仰向けの両方向の寝返りがスムーズにできるようになった子は、うつぶせになってしまったのを必ずしも戻さなくても良い、と述べています。その際に重要なのは、柔らかい布団や枕、ブランケットなどを使わないことです。
このことを直接検証した研究はないようですが、いくつか関連する研究結果がありますので、ご紹介しましょう。
■低月齢の子のいつもと違った「うつぶせ寝」がリスク
1992年から1996年にかけてヨーロッパで行われた研究では、745人のSIDS症例と2411人のコントロール群(年齢や性別などが近く病気ではない人たち)を比較しています。そのうち、仰向けで寝かせられた子の中で、発見時にうつぶせだった子は、発見時に仰向けまたは横向きだった子の16.6倍になっていました。
これを見ると、うつぶせになるのはとても危険と思えるかもしれません。しかし、SIDSの発症は低月齢の子に多く、この研究でも発症のピークは生後10週で、82%が6カ月未満の子です。つまり、この研究結果には、「まだ寝返りがスムーズにできない子」が多く含まれていると考えられます。
また、1997年から2000年にかけてカリフォルニアで行われた研究では、185人のSIDS症例と312人のコントロール群を比較しています。すると、発見時の姿勢に関わらず、うつぶせに寝かせられた子は、仰向けに寝かせられた子の2.6倍となっていました。さらに、いつも仰向けなのにたまたまうつぶせだった子は、いつもうつぶせに寝かせられている子より5倍以上も高かったのです。
このような研究から、低月齢の子がいつもと違ってうつぶせになってしまう、というのが特に重要なファクターと考えられています。