予防接種に使用する薬液であるワクチンは、感染の原因となる細菌やウイルスを原材料に作られており、成分の違いから「生ワクチン」「不活化ワクチン」「トキソイド」の3つに大きく分類されます。
そのうち、妊婦さんが接種できないのは「生ワクチン」です。
生ワクチンは、ウイルスや細菌を弱毒化させたものを材料にしています。毒性を弱められたものの生きているウイルスや細菌を接種することによって、それらが体内で増殖することで感染を起こさせ、免疫を作らせるのです。体内で増殖したウイルスが胎盤を通じて胎児に感染し、影響を与える可能性があるため、妊娠中は接種することができません。また、接種してから2カ月間は、女性は避妊をする必要があります。
これらの生ワクチンには、風疹・麻疹・水ぼうそう・おたふくのワクチンが含まれます。風疹だけでなく、これらのウイルスは、胎盤を通じて胎児に感染し、流産や流産、奇形、運動発達や精神発達の遅れの原因になるため、予防接種が不可欠です。
■麻疹収束も束の間
麻疹といえば、今年の春、沖縄県で流行したことを覚えていますでしょうか?
麻疹の流行に伴い、沖縄への旅行中止が相次いだと言います。私の勤務するクリニックでは、麻疹ワクチン接種の希望者が急増。しかし、流行が落ち着くにつれて、報道数は激減し、麻疹ワクチン接種の希望者も、報道数の減少を後追いするように、パタリといなくなりました。6月には、麻疹流行の終息宣言が出され、麻疹流行の事実すらすっかり忘れ去られてしまったかのよう。旅行会社の入り口に張られた「麻疹終息!」と書かれた紙を見た方もいらっしゃるかもしれせん。
が、落ち着いたのも束の間。
麻疹流行の終息宣言から2カ月後の8月中旬、「風疹患者、関東を中心に急増」という報道を皮切りに、風疹が流行しているとの報道が日に日に増加し、それに伴い、今度は風疹ワクチン希望者も増加しました。インフルエンザの予防接種とともに、風疹ワクチン希望が後をたちません。