風疹の流行は、今現在もとどまる気配がありません。首都圏を中心に、東海や近畿地方、福岡県などでも報告されており、今年の全国の風疹患者数は、11月28日発表で2186名に上っています(編集追記:12月4日発表で2313人に拡大)。そのうち男性が女性の約4.5倍の1800名あまり。また、男性患者の8割は30代から50代です。
■ワクチンの同時接種
「妊娠したい人だけが、予防接種すればいいじゃないの?」という意見もあるかもしれません。もちろん、妊娠前に接種することは必須です。妊娠を考える前に余裕を持って接種しましょうと、私は声を大にして言いたいです。
しかしながら、流行させないようにする、ということも大切になってくると思うのです。感染して何日も高熱にうなされたり、寝込んだり、といった辛い思いをしたくはないですよね。
そこで私は、今すぐにでも風疹だけでなく、麻疹やおたふく、水痘に対する予防ワクチンも風疹ワクチンと同時に接種することを提案したいと思います。
忙しい仕事の合間に、医療機関を受診して抗体検査を行い、結果を後日聞きに行くことは至難の技です。ワクチン接種を検討している間に感染する可能性だってあります。まだ予防接種していない、接種したかわからないという一人でも多くの方に、1日でも早く予防接種をしていただけることを願っています。
◯山本佳奈(やまもと・かな)
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー、CLIMアドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)