「教育の誤りを徹底的に払拭」した結果、教育勅語は「廃止せられその効力を失つている」。しかし、「従来の如き効力を今日なお保有するかの疑い」があるので、「効力を失つている事実を明確に」して、「謄本をもれなく回収」させなさいと訴えている。
教育勅語は「排除した」「効力を失っている」ことについて、国会議員も文部科学省も百も承知である。それでも教育勅語を使いたい。
2014年には国会でこんなやりとりがあった。教育勅語の活用の是非についてである。質問は、和田政宗議員(当時、みんなの党)、答弁は前川喜平・初等中等教育局長、下村博文・文部科学大臣。
(14年4月8日、参議院文教科学委員会の会議録。前川、下村の肩書はいずれも当時。参議院ウェブサイト)
<質問>和田議員
―――私は、教育勅語について、学校、教育現場で活用すればとても良い道徳教育になると思いますが、米国占領下の昭和23年に国会で排除決議や失効確認決議がなされています。こうした決議は関係なく、副読本や学校現場で活用できると考えますが、その見解でよろしいでしょうか。できれば大臣にお願いしたい。
<答弁>前川初等中等教育局長
―――(略) 教育勅語をわが国の教育の唯一の根本理念であるとするような指導を行うことは不適切であるというふうに考えますが、教育勅語の中には今日でも通用するような内容も含まれておりまして、これらの点に着目して学校で活用するということは考えられるというふうに考えております。
<答弁>下村文部科学大臣
―――今局長から答弁あったとおりでございますが、教育勅語そのものを学校で副教材として使用するということについては、歴史的な経緯がありますので、教育勅語そのものというよりは、そういう歴史的な中でいろんな要らぬ議論が出てくることが予想されます。ですから、そのものを使うということについては相当理解を求める必要があるというふうに思いますが、ただ、その内容そのもの、教育勅語の中身そのものについては今日でも通用する普遍的なものがあるわけでございまして、この点に着目して学校で教材として使う、教育勅語そのものではなくて、その中の中身ですね、それは差し支えないことであるというふうに思います。