山口:ははは。いろんな情報を仕入れることができないと、それをベースに考えるのが難しいですよね。そういう意味では、読解力は共通テストの4択を答えるための能力ではなく、もっと深いテーマだと思うんです。

藤原:東大の入試はものすごくよくできていて、テストで正解を当てる「読解力」だけでは解けない。頭の回転の速さだけでなく、頭の柔らかさも大事で、メタな思考(客観的に見る思考)を働かせる「真の読解力」を問う。いま、大学入試では総合型選抜(旧・AO入試)が増えていて、国公立でも2020年代中に3割ぐらいまでになると言われています。4択問題を正解するためなら単に読み取るだけの読解力でいいけど、総合型選抜の面接では受からない。今後、ますます真の意味での読解力が問われるようになります。

山口:確かに東大の日本史の試験では史料をいくつか提示して「(鎌倉時代の)北条氏はなぜ将軍にならなかったのか」という問題が出たりしています。日本の学校教育では問われないところだけど、社会に出ると一番問われるところ。東大の入試がもう少し高校教育の指針になればいい。そういう教育ができればベストですけど、先生の負荷はかなり高い。

(構成/編集部・深澤友紀)

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