過重労働に苦しむ同級生の姿にいてもたってもいられず…教員の激務を軽減したいと起業する“教員の卵”たち

2022/01/27 08:00

インターンを派遣/インターン生はSNSなどで募集。教員志望者に限らず、学校教育に興味のある学生は応募できる。面接や研修を実施し、学生のスキルと学校のニーズをマッチング。期間や頻度は話し合いで決める(写真部・戸嶋日菜乃)
インターンを派遣/インターン生はSNSなどで募集。教員志望者に限らず、学校教育に興味のある学生は応募できる。面接や研修を実施し、学生のスキルと学校のニーズをマッチング。期間や頻度は話し合いで決める(写真部・戸嶋日菜乃)

 学校の長時間労働が長らく社会問題となっている。教員たちを支援しようと、教育系の学生を中心に立ち上がり、起業する動きが出始めている。AERA 2022年1月31日号の記事を紹介する。

【写真】教員の授業準備を支援するウェブアプリ「JUST10min」

*  *  *

「キャンパスベンチャーグランプリ中部大会の大賞を受賞」

 学生起業家の登竜門とされるコンテストの受賞を知ったとき、岐阜大学大学院1年の杉江萌花さん(23)は喜びと共に不思議な感慨に襲われた。小学校4年のときから教員志望で、1年ほど前まで起業は別世界のことだと思っていた。そんな自分が今月28日にはコンテストの全国大会に出場する──。

 受賞したのは、教員の授業準備を支援するウェブアプリ「JUST10min」だ。授業の進め方の指導案を入力すると、黒板の板書レイアウトが同時作成される。ユーザー同士が指導案を共有することもできるため、互いに参考にしたり、アレンジしたりすることで入力の省力化も可能だ。これによって日々、2時間強かかるとされる授業準備の時間を1時間弱に短縮できるのがポイントだ。

 杉江さんは言う。

「教員の9割が校務などに忙殺され、授業準備の時間が足りないと感じています。『いい授業をしたいと思って教員になったのに、時間が確保できず、ろくな準備ができないまま授業をする自分が許せない』という、新人教員の自身を責める言葉を聞き、胸に刺さりました。デジタル化によって授業準備の時間を短縮し、教員が心と時間の余裕を持てるようにしたいと思ったのがアプリ開発の動機です」

採用試験クラスで6割

 杉江さんが、起業の世界に踏み出したのは2020年夏。教員採用試験がきっかけだ。当時、岐阜大学教育学部4年で、自身は受験し合格した。だが、クラスで受けたのは6割程度だった。

「大学に入学したとき、級友はみんな教員になることを夢見て目を輝かせていました。ところが、『いまの学校の労働環境では、家庭や子育てと両立できると思えない』と、教育に熱い思いを抱いていた友人や、採用試験に合格した人の中にも別の道を選ぶ人がいてショックでした」(杉江さん)

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