なかくら・あきこ/1977年3月2日生まれ、44歳。94年にプロデビュー。妹の宏美も95年にプロとなり将棋界初の姉妹女流棋士に。2015年に現役引退。17年に女流二段昇段。夫は棋士の中座真七段
なかくら・あきこ/1977年3月2日生まれ、44歳。94年にプロデビュー。妹の宏美も95年にプロとなり将棋界初の姉妹女流棋士に。2015年に現役引退。17年に女流二段昇段。夫は棋士の中座真七段

 市内には将棋道場があり、姉妹で通った。

「帰りは母が車で迎えに来てくれるんですけど、行きは二人でバスに乗るんです。まだ小学生だから、私はやっぱりドキドキするんですけど、宏美はただついてくるだけで(笑)。でも二人だったから、やっぱり心強かったんでしょうね。道場では席主の先生にかわいがってもらいました。お客さんのラーメンを出前で頼むとき、『彰子ちゃん、宏美ちゃんも食べる?』ってごちそうしてくれたり。私たちは灰皿を片付ける係をしていました」

 休日には父の車で将棋会館(東京都渋谷区)まで他流試合に行った。帰りの車中、父は娘の指し手に意見を述べる。強気な彰子は反発した。

「父とは駒落ち(ハンディあり)から始めて、中学生ぐらいで平手(ハンディなし)で勝てるようになりました」

 当時、将棋を指す女の子はまだあまりいなかった。

「大会で女の子が2人いるのは目立っていたと思います。『どんな将棋を指してるんだろう』とギャラリーができたりしました」

 姉と妹はライバルで、家ではよく指した。

AERA 2021年7月12日号より一部抜粋

(構成/ライター・松本博文)

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