菅政権が招いた「空白の1カ月」の重罪 コロナ対策より支持率の「甘い見通し」で判断ミス

2021/01/20 08:02

愛知県などへの緊急事態宣言について会見する菅義偉首相を映す大型ビジョンを、若者が見つめていた/1月13日、名古屋市のJR名古屋駅前 (c)朝日新聞社
愛知県などへの緊急事態宣言について会見する菅義偉首相を映す大型ビジョンを、若者が見つめていた/1月13日、名古屋市のJR名古屋駅前 (c)朝日新聞社
AERA 2021年1月25日号より
AERA 2021年1月25日号より

 感染拡大が止まらない現状を招いたのは、12月15日に菅政権が犯した判断ミスだ。甘い危機管理が生んだ「空白の1カ月」。取り戻すにはあまりに重すぎる。AERA 2021年1月25日号から。

【グラフ】第3次補正予算に占める感染拡大防止策の割合は?

*  *  *
 菅政権の遅きに失する「無策」の象徴が、18日から開かれる通常国会で審議される今年度の第3次補正予算案だ。そもそも、この補正予算の内容が閣議決定されたのは昨年の12月15日。官邸が感染防止対策を打ち出した「勝負の3週間」が終わる1日前だった。

 当時、菅首相の頭には緊急事態宣言の発出という選択肢はなく、年末年始の感染者数は減少すると見込んでいたことを自ら認めている。今となっては明らかに、最悪の判断ミスだ。12月15日の閣議決定から通常国会が始まる1月18日までの「空白の1カ月」こそが、過去最大の新型コロナウイルス感染拡大の明暗を分けたと言っても過言ではない。

 当時、野党4党は「勝負の3週間」では感染拡大が止まらないと判断。臨時国会会期末の12月2日に都道府県知事の権限強化などを盛り込んだ新型コロナウイルス対策の特措法改正案を国会に提出し、補正予算の審議と、成立をさせるための国会会期延長を求めていた。しかし、菅政権は一顧だにしなかった。12月5日に早々と国会を閉じた理由は、コロナ対策とは無縁の、自民党が抱える事情だった。

「この時、すでに菅政権はGoToトラベルの中止に踏み切れない態度もあって支持率が急降下していました。そこに降ってわいたのが、安倍晋三前首相の桜を見る会前夜祭の問題でした。検察が前首相の事情聴取に踏み切るという情報を得て、一日も早く国会を閉じ、なるべく現政権への直接的なダメージを減らそうと考えたのです。その意味では、コロナ対策よりも政権支持率を優先したと言ってもいいでしょう」(官邸関係者)

 また別の官邸に近い自民党議員は、支持率が降下傾向にあった菅政権にとって、補正予算の閣議決定は支持率浮上の切り札でもあったと語る。

「年度末までに執行しなければならない緊急予算は、第1波、第2波で冷え切った経済を立て直す即効薬として大変有効なはずでした。だからこそ、直近では批判されていても、機能すれば国民に広く支持されるとみてGoToトラベル、GoToイートの予算を上積みしたんです。無論、これは感染者が減少傾向にあることが条件でした。しかし、感染は逆に拡大し、補正予算を閣議決定してからも政権支持率は下がり続けたのです」

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