AERA 2019年10月7日号より(イラスト/宮野耕治)
AERA 2019年10月7日号より(イラスト/宮野耕治)
こんなときは…(AERA 2019年10月7日号より)
こんなときは…(AERA 2019年10月7日号より)

 大事なプレゼンや会議の前には、何をどんなふうに食べればもっとも効果的なのか。パフォーマンスを最大限に発揮できる食事術を伝授する。AERA 2019年10月7日号に掲載された記事を紹介する。

【退屈な会議の前、イヤなことがあった時…こんな時何をどう食べるとよい?】

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 絶対に負けられないプレゼンに臨む日のランチ、都内のIT企業で働く男性(42)はゲン担ぎに豚カツを食べるという。

「僕の勝負飯。よしやってやるぞ!という気持ちになります」

 自律神経研究で知られる順天堂大学医学部教授の小林弘幸医師(59)はこう話す。

「起死回生の策を練るときには、交感神経を高めてくれる肉類は効果的。ここ一番で最大限の力を発揮するためには、自律神経を整えることが大切です」

 自律神経とは、自分の意思ではコントロールできない体機能をつかさどる神経で、興奮モードの「交感神経」とリラックスモードの「副交感神経」の二つから構成される。「自律神経が整っている」とは、二つの神経のバランスが高いレベルで取れていることを指す。

 気合を入れたいのなら、豚肉のほか、牛肉やまぐろ、鰻なども交感神経を高めてくれる。反対に、緊張しやすい人はアジやサバなどを食べるとよい。青魚の脂肪に含まれるDHAやEPAは副交感神経を高めてくれる。イカやタコといった頭足類、エビやカニなど甲殻類に含まれるアミノ酸の一種のタウリンは血圧の上昇を抑える働きがあるので、こちらも上がり症対策によいという。

 しかし、実は「何を食べるか」以上に、「どう食べるか」が大切だと、小林医師は指摘する。

「仕事のことで頭がいっぱいでも、ひとまず食事に集中しましょう。別のことを考えていると、胃液の分泌も腸のぜんどう運動も弱くなり、消化吸収がうまくいきません」

 早食い、満腹も厳禁だ。食後、胃腸に血液が集中して副交感神経が一気に優位になると、眠気やだるさが引き起こされる。これを避けるためには、(1)食前にコップ1~2杯の水を飲む(2)腹6~8分目の量をできるだけゆっくり噛みしめながら食べることが大切だという。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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