たとえば中国の古典に「運はどうしたら強くなるか」や「そもそも運とは何か」を考えたものがあります。

 運命は命を運ぶと書く。命はある意味、天から与えられた絶対的、必然的なものです。しかし命を運ぶのだから、変化するわけです。宿命として諦めることはないのです。自分の運命を自分で切り開くこともできるのです。この開くことを立命といいます。では、どうやって命を立てるか。これはやはり修身することです。身を修めること、すなわち学問をしないと駄目だということです。

 私どもの、金融事業でも、利他の精神に基づいて投資家や金融サービスの受益者が大きなメリットをこうむるようにしようと思ってやってきました。

 あるいは、私財を投じてつくった「慈徳院」という情緒障害児の短期治療施設や、原資を出したSBI子ども希望財団という公益財団法人があります。これらの実現に向けては、世のため人のためという気持ちがありました。

 そして、自分自身を毎日磨いていく。こういう修養もやってきていると思えるから、天が常に啓示を与えてくれたり、守ってくれたり、運気を強めてくれたりするのだろうと思っています。(構成/ライター・本山謙二)

AERA 2017年10月2日号