浮気率が低いのは、45位広島(17.6%)、46位静岡(17.1%)、47位秋田(15.4%)の順。

「広島は女性が一筋、静岡は逆に男性が一筋なのが要因。一番低い秋田は、男女とも真面目な県民性なので、浮気をしないのは当然だと思います」(矢野氏)

●オナニートップは秋田

 さらに詳細に調査を見ていくと、「1カ月のマスターベーション回数ランキング」で、興味深い結果が見られた。

 浮気率では最下位の秋田県が、マスターベーションの回数では5.67回でトップとなっていたのだ。この点を矢野氏は、本当は浮気がしたいのに、クールで真面目な性格ゆえにできない。だから、マスターベーションで補うしかないのかもしれないと推測する。まだある。マスターベーションの回数で福井県は最下位(2.82回)だが、先に見たように「性生活の満足度」では3位。

「恋人やパートナーとのセックスに満足しているため、マスターベーションをする必要がないのでしょう」(矢野氏)

 県民性はどうあれ、心からセックスを楽しむにはどうすればいいのか。

「相手の目を見る。そこに尽きると思います」

 と語るのは、AV界の巨匠として知られる代々木忠監督。

 代々木監督によれば、古来日本には「目合(まぐわ)う」という言葉があったように、日本人は心からのセックスの喜びを知っていた民族だったという。

●大切なのは心の満足

 民俗学者の故・赤松啓介さんの調査によれば、かつての村社会では女性が主導権を握り、若い男性は大人の女性から「性の手ほどき」を受けていた。性に対しておおらかで女性が性的に満足している社会は、豊かだったという。

「そもそもセックスというものは、人間という存在を生み出す行為であると同時に、生を受けたわれわれが、体も心も一つになれる行為でもあるわけです」(代々木監督)

 つまりセックスで大切なのは、肉体の快楽のみならず、心の満足だという。心が満たされないと、セックスの後に空しさに襲われ、その穴を埋めようと再びセックスをしたくなる、と。

 例えば、日本はフランスやギリシャなどと比べセックスの回数が圧倒的に少なく、「セックス小国」などといわれる。だが、回数が増えるのは実は心が満足していない証しだと話す。

「目を見ないセックスは、心ではなく頭でしています。それでは相手の体を使ったオナニーだ。目を見た時にはじめて相手をいとおしいと感じ、心までつながるセックスができるのです」(同)

(編集部・野村昌二)

AERA 2016年10月24日号

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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