「このままいくとやばいという意識はある。でも健康診断の数値は悪くないし生活に支障はない。丁寧な食生活がいいことはわかるけれど、手間やお金がかかる。それなら、その時間やお金を読書に費やしたい」

『9割の人が栄養不足で早死にする!』の著書がある新宿溝口クリニック院長の溝口徹さんは、現代人の食生活に警鐘を鳴らす。

「最近『新型栄養失調』が注目されつつあります。栄養失調というと、食べ物が不足したガリガリ体形の人がなるイメージですが、新型栄養失調は、本人は十分食べているつもりでも、実はタンパク質やミネラル、ビタミンなどが欠乏している状態。ダイエットを意識して動物性タンパク質の摂取を控えている人や、コンビニ弁当が常態化している人がなりがちです」

 現代人の食生活は想像以上に乱れ、栄養バランスが偏っていると指摘する溝口さんは「40代以上の9割は新型栄養失調でしょう」と推測する。

 前出のマサキさんやワタルさんはまさにその典型だ。時間がないので急いで食べたい、手軽におなかを満足させたいなどの理由で、丼ものや麺類などに偏ることが多い。

 新型栄養失調は、肝臓で合成されて血液中に放出されるタンパク質「アルブミン」の数値低下(4.2g/dl未満)を目安に判断される。たとえカロリー過多でも栄養失調というところが「新型」のゆえんで、見た目にはわからないため「隠れ栄養失調」とも呼ばれる。現状では体調不良が表面化していなくても、その状態を長く放置すると、貧血や脳出血、脳梗塞、結核、骨折といったリスクが高まる恐ろしい現代病の一つだ。

●疲れたら酒控え肉を

 華奢な体形の会社員のアイコさん(44)は慢性的に疲労を感じている。朝食や夕食は栄養バランスを心がけているが、昼食はどうしても自分のデスクで広げやすいコンビニのパスタや弁当に。そして、毎日欠かさず食べているお菓子やアイスで「少し、元気になれる」と明かす。

 前出の溝口さんは注意を促す。

次のページ