「『果物は体にいい』という考えは間違った常識です。ビタミンや食物繊維はとれますが、果糖が血糖値を急激に上昇させます。そのためインスリンが過剰に分泌され、果糖はすぐに中性脂肪に姿を変え、肝臓に蓄積されます。果物は食後に少量を食べ、野菜ジュースは果汁の入っていないものを選びましょう」

 ただ「果物=全部悪」ではないので、取り方を考えることが大事だ。

 メタボ直前の筆者は早速、ビタミンB群とタンパク質を意識して肉メインの食事に挑戦。でも、お金と手間がかかり中断してしまった。健康が大事って、わかっちゃいるけど難しい。(ライター・宮本柊)

(文中カタカナ名は仮名)

■栗原毅・医学博士が語る チョコ・ファーストのススメ
実は低糖質で、太らない

「タンパク質など一部の栄養素は不足、一方で糖質は過多」という「新型栄養失調」の人が増えています。この状態が続くと、次第に肥満になり、さらには内臓脂肪が増え、それを放置すれば糖尿病になる可能性も。その救世主として私がおすすめしたいのが「チョコレート」です。

 さて質問です。「塩せんべいVS.チョコレート」どちらが太るでしょう? 答えは前者。高カロリーなのは後者ですが、太るのは糖質が高い前者です。物を食べると、血糖値が上昇しますが、それを下げるために分泌されるのがインスリン。インスリンには、摂取したエネルギーを脂肪に変えて蓄積する働きがあるため、分泌されれば太るのです。
 大福のように高い糖質のものを食べれば血糖値は急上昇。半面、血糖値の上昇をゆるやかにできさえすれば、インスリンの分泌は抑えられます。

 そこで私は、意外にも糖質が低い、高カカオ(70%以上)のチョコレートを食前に一かけら食べる「チョコ・ファースト」を提案します。長年通院する患者に実践してもらうと高い効果が得られました。

 原料のカカオ豆に含まれるカカオポリフェノールが血糖値を下げますし、カカオ豆の脂肪分は小腸からの吸収率が悪いため体脂肪になりにくい。また、コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化の予防にも効果があります。さらに、豊富な食物繊維も含まれている「完全食」。甘い香りややさしい口どけは幸福感を与え、満腹中枢を刺激して食欲を抑えてくれるのも利点です。

 毎日板チョコ半分を食べても太りません。私で実証済み。ぜひ実践してみてください。

くりはら・たけし/1951年生まれ。栗原クリニック東京・日本橋院長。元慶應義塾大学特任教授。北里大学医学部卒業。糖尿病や脂肪肝の治療、予防が専門

AERA 2016年7月25日号