「甘いもので疲れが取れるように感じるのは一時的な効果。新型栄養失調の症状は千差万別ですが、共通しているのは疲労感です。その原因はビタミンB群不足によるものだと言われ始めています。ビタミンB群は、忙しい人は消耗のスピードが速く、また糖質を多くとることでも失われてしまいます。疲れたときこそ、ごはんやパン、お酒は控え、ビタミンB群もタンパク質も含むお肉をしっかり食べて、たっぷりの睡眠を。翌朝はすっきりしていますよ」

 1歳4カ月の息子がいる出版社勤務のハナエさん(36)は妊娠中、「妊娠糖尿病になりかけている」と医師から言われ、食について猛勉強した。

「その知識を生かして、夕飯は週に4日は魚、3日は赤身の肉を食べています」

 3食コンビニ弁当で済ませる日もある筆者からすると完璧な食生活に思えるが、真面目なハナエさんには悩みもある。
「NGと知っていながら、息子の支度に追われ、朝食はミルクティーだけになることも」

 NPO法人に勤務するタカシさん(35)は朝食、夕食作りも担当するイクメン。

「昼休みは唯一、一人でいられる時間。そのあと喫茶店でのんびりしたいから、昼メシは立ち食いそばやラーメンで10分で済ませます」

●果物は食後に少量

 仕事に子育てに忙しい世代は、食事はどうしても二の次になってしまう。

「3食で栄養バランスをとるのが理想。1食でも抜いたり、おざなりな食事をしたりしていると、長期的に見れば栄養不足になります。40代以降は特に、肉、魚、卵を3食で網羅するのがおすすめ。タンパク質の一日の摂取量の目安は体重1キロ当たり1.5グラムです」(溝口さん)

 ぽっちゃり体形で自営業のサワさん(46)は、ダイエットと美容に関心が高い。

「果物、大好き! 朝食はお取り寄せした夏みかんや桃、梨、ぶどうだけ。カロリーが低そうだし、ビタミンたっぷりだから」

 最近、人生でマックスの体重に達したという弁護士のイサムさん(45)も最近、朝食は果物がブレンドされていて飲みやすい野菜ジュースのみにした。

 一見、果物は健康によさそうだが、ここにも落とし穴が! 果物ばかりを過剰摂取すると栄養が偏り、これも新型栄養失調の一因となりうる。

 糖尿病や脂肪肝治療の第一人者、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅さんは言う。

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