発売中のアエラムック「医学部がわかる」では、医師専用コミュニティーサイト「メドピア」(https://medpeer.jp/)の協力のもと、現役医師344人にアンケートした。それによると、1日の平均勤務時間は、8割超が8時間以上、3割超が10時間以上となっている。

 年収調査では、医師の8割以上が1千万円超。高収入だが、当の医師たちからは不満の声も相次いだ。

「忙しすぎる。賃金が安い」(産婦人科・勤務医・40代男性・1300万~1600万円)
「給料も低いし、休みも有休もなしです」(小児科・勤務医・40代男性・600万~800万円)
「時間外手当が出ないので、十数歳年下の看護師より給料が低い」(整形外科・スポーツ医学・勤務医・30代女性・800万~1千万円)

 こうした医師の不満の背景には、勤務時間の長さ、人の命を扱う責務や緊張感、訴訟リスクなどがありそうだ。常勤先により、ベースの収入に大きな差が出るという現状もある。大学病院の医局や有名な病院は、症例が多く効率的に学べ、人気がある半面、給与がさほど高くないのが一般的だ。医局に残って教授を目指す場合を除き、一定の経験を積んだ後は、よりよい条件の病院へ転院していく医師が多いという。

「医師の満足度の分岐点は年収1500万円といわれています。1千万円未満の所得は、大学病院所属者が多いようです。技量や経験に収入が比例しないため、不満もたまりやすいのではないでしょうか」(ニューハンプシャーMC取締役で医師専任コンサルタントの中村正志氏)

「国公立の病院の場合、公務員に準じる扱いなのでアルバイトもできない。教授などの管理職になっても、年収は1千万円を超えません。名誉と収入が一致しない、珍しい職業です」(前出の診療所副院長)

(医療健康編集部)

AERA 2016年3月14日号より抜粋