「現職の嘉田由紀子知事が3選に向けて出馬せず、三日月氏が立候補すると決まった時点で、小鑓陣営はほぼ勝利宣言していました。告示日になっても陣営のムードは変わらず。ところが、7月1日の集団的自衛権の閣議決定の前後で、一気に空気が変わったのです」

 肉薄、あるいは負けている──との報告を受けた官邸は、慌ててテコ入れに動きだす。菅官房長官が5日に応援演説に入ると、野田聖子総務会長や小泉進次郎復興政務官も投入。選挙の総責任者である石破茂幹事長も自ら県内の企業回りをし、電話をかけまくっていたという。

「鈍かった公明党が終盤になって動きだし、自分も応援に入り、進次郎氏も投入した。投票日前日には、橋下徹大阪市長にも頼み込んで現地入りしてもらった。これだけやったんだから勝つだろう、という認識です。ところが、結果はまさかの敗北。突っ込んだ分だけ落胆も大きかった」(先の官邸関係者)

 敗北の原因は、選挙前に飛び出した福島原発事故を巡る石原伸晃環境相の「金目」発言、東京都議会のセクハラやじ問題、そして集団的自衛権の閣議決定と言われる。しかし、

「間違いなく大きかったのは、集団的自衛権ですよ。だけど、いま地元がなにをやっているかといえば、選挙中に流れた小鑓氏を巡る『怪文書』の犯人捜し。負けたのは、そのせいにしたい。さすがに原発や集団的自衛権のせいにはできませんから」(地元の自民党関係者)

AERA 2014年7月28日号より抜粋